本記事では「これから質的研究をはじめようかと思っているけど、コーディングって何だろう?わかりやすく教えてほしい」という疑問にお応えします。
最近、「コーディングって何?」という質問を受けることがあるので、簡単に解説する記事を書きました。
同じ内容を動画にしていますので、動画から学習した方が理解しやすい人は、以下からどうぞです。
質的データ分析におけるコーディングとは何か?
コーディングとは、質的データにわかりやすいコードを割り当てて整理していくことです。
質的データとは、数量化されていない記録です。
例えば、インタビュー記録、ビデオ動画、オーディオ、フィールドノート、写真、メール、ウェブサイト、日記、資料など様々なものが含まれます。

質的研究は、これらの質的データを利用して、リサーチギャップを埋めていきます。
質的データは多様で複雑であり、ときに膨大ですから、それをそのまま解釈するのは困難です。
そこで、私たちが理解できる程度に質的データを分類し、特徴付ける必要があります。その営為を指して、コーディングと呼びます。
コーディングの例
例えば「ハムスターは頬袋に餌をたっぷり詰め込んだ」という質的データがあると仮定します。

もっとも単純なコードとしては、この質的データに「ハムスター」を割り振ることができるでしょう。
このコードは、「ハムスター」が質的データに表れることを反映しています。
あるいは、人によっては「げっ歯類の本能的な食習慣」というコードを割り振るかもしれません。
このコードは、質的データが小動物が生きるために食物を集めて後で食事する習性を表しています。
実際のコーディングは、研究テーマ、使用する質的研究法、質的データの特性などによって異なるために注意が必要ですが、コーディングでは質的データにコードを割り当てて、わかりやすく特徴付けていきます。
コーディングはデータ分析とデータ収集の潤滑剤
コーディングは、質的データの分析だけでなく、データ収集を促進するために役立ちます。

一般に、量的研究はデータ収集が完了してからデータ分析します。
しかし、質的研究はデータの収集と分析を同時並行で進めていきます。
得られた質的データのコーディングを行うと、次のデータ収集で役立つ視点を形成することができます。
また、それをヒントにデータ収集の戦略を立てることもできます。
量的研究に慣れていると、データ収集とデータ分析のサイクルは理解しがたいかもしれませんが、質的研究では両者を織りまぜながら進めます。
このように、コーディングは質的データの収集と分析のドライバとして機能します。
コーディングはダイナミックなプロセス
コーディングは繰り返しながら深化するプロセスです。

質的データが得られたら、丁寧に読み解き、理解を深めます。
そして、質的データの核となりそうなコードを割り当てます。
次に再びデータとコードを行ったり来たりしながらにらめっこして、もっとしっかり意味をつかめるコードを作成できないかを検討していきます。
最初のコーディングで質的データのコードができたら、今度はそのコードを使ってさらに検討し、パターンを把握したり、分類やカテゴリーを生成したりし、理論構築を試みていきます。
このように、コーディングは一度の作業で終了するものでなく、ダイナミックに、そしてインタラクティブに展開していきます。
ただし、厳密に言うと、コーディングの具体的なプロセスは、研究テーマや質的研究法によって異なってくるので注意が必要です。
まとめ
本記事ではコーディングについて簡単に解説しました。その内容をまとめると以下の通りです。
- コーディングとは、質的データにわかりやすいコードを割り当てて、わかりやすく把握できるようにすることです
- コーディングは、質的データの分析だけでなく、データ収集を促進するために役立ちます
- コーティングは繰り返しながら深化するプロセスです
コーディングには様々な種類があるのですが、それについては後日別の記事で解説しますね。
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